溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
一カ月が過ぎた。
実際、また母のことで日本に帰国するかもと思うと、休職を撤回せず、
そのまま勤務をしていた。
日給バイト状態だ。

日本のことも放り出していたので、一旦きちんとしなければいけないな。
そもそも、両親は長期出張としか思っていない。
やっと、近くに娘がいるのに寂しがるのは分かっていたから。

結局、亮さんにだけスウェーデンへ完全に戻ったと見せかけているのだ。
来月のクリスマスには日本へ戻って家族と過ごすつもりだ。
マックスも一時帰国するみたいだし。

根無し草のような生活だ。
将来がよく見えない。
そもそも医師を続けて行くつもりが自分であるのか。
私の夢って。


小さな頃はお嫁さんだった。

かわいかった、淡い思い。


お茶の時間にデートにも誘われるけど、そんな気にはなれない。
亮さんは、モテるからあっという間に女の子選び放題だね。
今度は尽くしてくれる彼女だといいね。
知らない誰かに、彼が優しくするのかと思うと寂しかった。

バカだ、私は。
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