溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる


なんで?
そんなの当たり前だ。
逃さないって決めてんだから。


NOはなしだ。絶対に。



呆然と状況を理解しようとしている、彼女。
やっとの思いで口をひらいた。

「怒ってるんじゃ、ないの?いきなり黙って去って、言い分があるからここに
連れて来たんじゃないの…?」

「ああ、怒ってるよ。
勝手に決めて、思い込んで、オレの気持ちは無視か?
どうせオレのためって思ったんだろう?
負担になってるとか、思いっきり仕事してほしいとか。
どの道、休職期間が終わったらあっち戻るからって。」

「ちが、う。私が弱いから。きっかけだっただけ…。
長くなると、亮さんと離れられなくなると思って怖かったから。
あなたは悪くない、思いやりでもなんでもないの。
私の自分勝手なわがままな思い…。」

「好きだったら、好きでいてくれるなら、離れることを選ぶなよ。
一緒に居られるような方法を、一緒に考えよう。
だから…。オレのところに戻って…。」


沈黙が続く。
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