溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
それからようやく連絡が来たのが、夜9時。
玲奈の携帯からだったので、電話に出たら男だった。
彼女の従兄弟で、時期家元、彼女と以前仲良く病院に来ていた人だ。

丁寧に挨拶され、要件を簡潔に伝えてくる感じはさすが時期家元だ。
彼には結婚したいほどの彼女がいるとも聞いているのに
嫉妬してしまうのはオレの玲奈への執着心だ。

玲奈が高熱で倒れ、会場のホテルの部屋で休ませているという連絡。

オレはすぐに迎えに行くと返事をした。


出迎えてくれたのは彼の秘書の人でお弟子さんだとか。
通された部屋はスイートルームで、家元さんと初対面となった。

「お世話になりました。久我亮です。」

「こちらこそ無理をさせてしまい申し訳ありません。
昔から我慢強い子で、ギリギリまで言わないというのを分かっていたのに
こんな風になってしまって。」

「彼女のことなので、きっと最後までやり遂げるまでは諦めないのではないかと。」

「そうですね。安心しました。レイナの旦那さんがよくわかっていらっしゃるようで。」

どうぞ。と通された部屋は寝室で着物は着替えてパジャマを着て、熱にうなされていた。
声をかけてみたけど、起きない。

「ホテルの医師の診察は過労のようです。着替えは女性従業員にさせましたのでご安心を。」

「ありがとうございました。」

「今日はこのままお泊りになれるようでしたら、ご主人が診てあげてください。
お忙しいようなら、私が一晩ついてますが…。」
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