溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
彼女は夕暮れの中で無邪気に波打ち側を濡れないように押し寄せる波と戯れながら
数歩前を歩いている。

ひときわ大きな波が押し寄せて来た時、反射的に避けようとした時、ヒールを履いた足がよろけた。

「きゃっ」
思わず声が出た彼女。

「あぶない!」
咄嗟に数歩でてよろける彼女を抱きとめた。

はずが、受け止められず二人で砂の上に躓いた。

初めて触れる彼女の感覚と甘い香水の匂い。
お互い視線が絡み微笑み合った。俺は無意識に彼女の頬に手が触れた。

「好きだよ。出会ったばかりだけど、君が好きだ。」

彼女は一瞬驚いた表情をしていたけど、優しく微笑んだ。

「だから正式に恋人としてお付き合いして下さい。」

YESともNOとも言えない微笑みに畳み掛けるように伝えた。

しばらく間があって !彼女はまっすぐ俺の 俺の目を見て、

「ありがとう。久我さんはとっても優しくて、しっかりしていて、すごく素敵な人です。
私にも親切で、、気にかけて下さってほんとに嬉しい。
だけど、今の私には久我さんがして下さるだけの親切に応えられるだけの余裕がないの。
日本へ帰国したのも、予定が終わればまたスウェーデンへ戻るつもりですし。」
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