溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
丁度お迎えの車が来た。

今日の会場はホテルだ。
母は華道家である。
日本でも有名な流派の師範だ。
もともとは母の母、私の祖母が出生で本家家元は
祖母の兄が継いでいる。
現在は半分隠居して、息子である叔父様に家元継がせている。

分家筋の私達も女性陣は華道に関わることも多く
母を含め、私も師範代だ。
今日はホテルであるお弟子さん向けのお披露目会に母の代理で来ているのだ。

久しぶりに見るゴージャスな花々にうっとりしてしまう。

「久しぶりだね。」

又従兄弟の次期家元候補の清史郎さんだ。

「お久しぶりだね。随分会わない間に大人っぽくなったね。」

「ごきげんよう。それは老けたと言いたいのか?
玲奈は相変わらず細っそりして、あまり成長してないようだな。」

とニヤリと笑う。

「久しぶりに会ったのに失礼ね。
相変わらずの毒舌。その優しそうな顔にお弟子さん達は騙されているわ。」
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