溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
「ありがとう。
昔から勉強はそこそこ得意だったけど、性格もあってのんびりし過ぎて、不器用で。
でも好きなことはハマると没頭するから努力するのは嫌いじゃないんです。
生け花や、着物や楽器なんかも、語学も一生懸命取り組むと形になっていくから楽しくて。
でも、医師の仕事は楽しいだけでは、責任が重過ぎるから。
だから、普通以上に集中しての真剣勝負。ほんとは向いてないのかなって思うことも
いっぱいあって、何度も折れそうになります。」

前向きな彼女からの弱音を聞けて、なんか嬉しくなった。

「俺も同じだよ。でも、努力を惜しまず頑張れるのはすごいことだよ。
少ないとも、玲奈ちゃんの努力のおかげで今日のあの子は助かった。
俺も患者さんを救えなかった時は折れそうになるけど、救える命は救いたい。
自分に与えられた力だと思うから、今以上の俺になれるように努力したいと思うよ」

つい真面目な本音が漏れる。言っててはずかしくなった。

するとふわっと笑顔で、

「元気出ました。オペ室のわたしに幻滅してたらどうしようって思ってた。」

「幻滅なんてしないよ、言ったろ痺れたって、もちろんナース服にも!」

茶化して言うと、恥ずかしそうに

「なにそれ、もう。。。元気出たけど。」

「ならご褒美欲しいなあ」
軽口がうれしくてにニヤける。

「ご褒美? もうナース服は着ませんよ。」


「それもいいね!でも、そうじゃなくてそろそろ名前で呼んでもらいたいな、玲奈ちゃん!
俺はちゃっかり玲奈ちゃん呼びしてるのに久我さん久我さんって寂しいな。
亮って呼んで見てよ。亮ちゃんでもいいよ」


「いや、急に言われても。なんか恥ずかしい。」
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