溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
俺の家から歩いて五分ほどのところにある、低層マンション。
この一帯はうちも含め一等地に間違いないけど、セキュリティもかなりしっかりした
いわゆる高級マンションだ。
俺の家も裕福な家ではあると思うけど、彼女のところもそうなのかもな。
帰国してすぐに入居してるし。

エントランスを抜け五階の最上階へ。
ワンフロアだ。

玄関に入り、リビングへ通されると白と木の北欧家具でまとまった、彼女らしい部屋だった。
リビングだけでも30畳はあるような部屋。コーナーにグランドピアノが置いてある。
楽器も好きだと言ってたな。

「すごく君らしい居心地の良さそうな部屋だね。」

「ありがとう。もともと、ここは兄が使っていた部屋なの。」

「お兄さん、一番上の?」
確か兄が二人いると言っていた。

「そう、 ここに住むとき、ベッドとテレビしか置かない無頓着な生活する兄だったから
母に頼まれて内装写真もらって、私がスウェーデンから好きな家具を選んで輸送して。
それが、数年前のことで、
兄はしばらく住んでたけど、また海外へ出たから最近まではゲストルーム状態で。
それで、私が帰国してここに住むことにしたんです。」

「結果的には良かったのかな?」

「ええ、お気に入りの家具だから住み心地もいいんですよ。部屋もだけど、バルコニーが広い
からいっぱい洗濯できるし、トントンのお散歩サボりたいときはここで走らせて。」
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