溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
とりあえずビールから飲み始め、買ってきた冷酒もよく冷えていて料理とよくあう。
料理はお世辞抜きにどれも美味しくて、飲みながら焼いてくれたグリルチキンも
ハーブが効いていて、ほとんど俺が食べていた。

「ホント、どれも美味しいよ。料理得意なんだね。」

「よかった。得意というほどでも、素材が良いからそんなに凝ったことしなくても
おいしく食べられるのかな。スパイスや薬味で変化をつけてるだけだから。」

「このドレッシングとかも手作りでしょ。」

「美味しいもの食べ歩きも好きだから、自分で作るときに想像して再現してるの。
時々、失敗もあるんですよ。
でも、食べるの好きだから作るのも楽しいですよ。」

それから論文の話をしたり。

話題はだんだん仕事のことに。

「聞いてもいいかな? 嫌だったら答えてくれなくていいから。
スウェーデンの仕事を休職して、日本に帰国して、医師免許をとったのはどうして?
治したい人がいるって言ってたから、それは君にとって大切な人とか…。」

一瞬彼女の表情が揺れた。

「ええ、私の大切な人です。」

ああ、そういうことか。。。
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