溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる

愛熱（玲奈side）

亮さんに聞かれたことに少し躊躇った。

確かに、日本帰国したのには理由がある。
そのためなのも事実だ。

亮さんに話して、気を使われるのもな。
でも大切な人に誤解されたくはない。

「あの、大切な人というのは私の母なんです。母のオペをするために帰国を。
母は心臓疾患があって、今回オペが必要で」

「えっ、そうなの？ お母さんの状態は急ぐの？」
と驚いた顔。

「母は私を出産後に心臓病を患っていて。
もともと体がそんなに強い方ではなかったみたいです。
父と知り合いになったのも病院らしいので。

私が小さいうちは薬の投薬や生活でそんなに発作もなかったんです。
私が中学の時に初めてオペをして、生活も支障がなかったのに、
あれから１０年以上経ち、加齢とともに再オペをしないといけなくなって。

私が大学に入学と同時に両親は拠点を日本に。
子供達はそれぞれの道を行くことになりました。

家族のオペをするなんてと思うかもしれないけど、以前母のオペをしたのは父なんです。
だから、父にならオペを承諾するんでしょうけど、他は嫌だと。
父の信頼する部下にも嫌だと言って。
でも父も加齢で手に痺れがあって、日常生活に問題はないけど、もう長時間のオペはやって
なくて、今はほぼご隠居生活をしているんです。」