溺愛男は恋愛初心女の恋を惑わせる
「ご隠居って、ねえ、もしかしてお父さんって、心臓外科の権威、三上 敬太さん?」

「あれ、父をご存知ですか? 長いこと海外拠点の人だから知り合いは少ないはず。」

「イヤイヤ、知り合いだなんてとんでもない。外科医で三上 敬太さん知らない日本人なんて
いないよ。学生だって知ってる!」

「そんなに有名人なんだ。母にべったりの厄介おじさんですよ。」

「厄介おじさんって。。。ってことは玲奈ちゃんは三上氏のお嬢さん!」

「お嬢さんって恥ずかしい。兄二人の末っ子です。
父がオペを出来ないならしないと言って、拒否して。
家族にならやってもらいたいと。父が監修のもと、私達兄弟でオペをするならと。
普通だったら身内でオペをするのは冷静さを無くすし、万が一のダメージも大きい。
だからあり得ない話なんでしょうけど。

でも母の考えは違っていて、自分の体で子供達の医術が向上するなら幸せだし、
失敗してダメージを受けるような柔な子供に育てた覚えはない。
万が一失敗しても、次に活かすくらいの神経にはしたはずって言って。
ほんと、父より男前で。。。。」


「なんか、凄くカッコいいお母さんだね。強い方だ。」

「だから兄妹三人でオペをするようにしたんです。
もともと、母の体もあって、私も医師を目指したんで。いつオペの日が来てもいいように
急いで大学卒業して経験を積むことに今まで時間を費やしていました。
それが、やっと母のオペのタイミングが今回で休職帰国となりました。」
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