好きになっては‥‥いけない人☆☆その後

“コンコン”

病室に入ると
頭の包帯と
肩から胸にかけて包帯が巻かれ
ひどい怪我なのだと
人目でわかる。

そんな理はベッドを少し起こして
座っていた。

病室の入り口に立ち止まり
理を見て、涙をポロポロ落とす
芹那に
「芹那、おいで。」
と、左手に点滴をされている為
右手を差し出す・・・

優は、動けない芹那を
そっと理の元に近づける

そんな芹那を理は
片手で抱き締め
「ごめん、びっくりさせて」
と、言った。

芹那は、理の胸の音を聞きながら
少しホッとして
小さく首を横にふる

その姿をみて優は
そっと病室から外に出た。

芹那は、理と出会って
ひと月過ぎた時に
理から、理の仕事は刑事だと聞かされた。
今度も犯人と戦っての怪我の
ようだ。

今回は、理が石川さんに
頼んでくれたから
芹那は、理の怪我を
知り得る事ができたが
恋人でも家族でもない
芹那は、本当は知り得ないことだと
改めてわかり
それがひどくつらかった。

理も同じように考えいて
「芹那、俺の仕事は
危険の背中あわせで
芹那に心配かける事もあると思う。
だからこそ、俺は芹那にそばに
いて欲しい。
俺に何かあったら
真っ先に芹那に連絡が行くように
したい。
そして、俺の顔をみて安心して欲しい。」
と、言って
まくらの下から四角箱を出して
手渡して
「綾瀬 芹那さん
俺の妻になって下さい。」
と、頭を下げた。
芹那は、その箱を両手で持ちながら
「はい、宜しくお願いします。
私を理さんの奥さんにして下さい。」
と、答えると
理は、芹那を引き寄せ
芹那の唇にキスをした。

“コンコン”とドアを叩く音に
はっとして芹那が離れると
理は、むっとしていたが
優が顔を出して
「お父さん達見えた。」
と、伝えた。
芹那は、どうしようかと
思っていたが
理が、芹那の手を取り
横にいるように言ったから
言われたままでいた。

すると
綺麗な女性と貫禄のある男性が
入ってきた。
女性は、
「びっくりしたんだから
でも、元気そうで良かった。」
「ごめん、驚かせて。」
と、理が言うと
「部下を庇ったんだってな」
と、男性が言うから
芹那は、びっくりして理を見ると
「いや、そんな美談じゃない。」
「まったく、お前は。」
と、言う男性。
言い方は、ぶっきらぼうだが
嬉しそうだった。
「ところで、こちらのお嬢さんは?」
と、女性が理にたずねると
理は、姿勢をただして
「父さん、母さん、
こちらは、綾瀬 芹那さん。
俺、芹那と結婚する。」
「あら~うれしい。
とても綺麗なお嬢さんだこと。
私は、理の母親で永山 郁子です。
ほら、あなたも。」
「父親の永山 崇です。
心配したでしょ?
こいつの仕事は危険が伴う
何かあったら郁子に
なんでも言ったら良い。」
と、言って頂き
「はい、ありがとうございます。
綾瀬 芹那と申します。
宜しくお願い致します。」
と、頭を下げると
お父さんもお母さんも
嬉しそうに笑ってくれた。

お母さんが私の手の中にある
箱を見つけて冷やかしたり
開けて見せてと言われて
開けると理さんが指輪をとって
私の左手に嵌めてくれて・・・
私は、再び涙を流した。

お母さんは、あらあらと
言いながら、私の涙を
自分のハンカチで拭いてくれた。
「あり・・がと・・うござい・・ます。」
と、言うと
二人は、うんうんと頷いてくれた。
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