言葉にならない愛を、君に
*
「勇也くん、かえろ?」
いつものように部活おわり手をつないできた梨花子の手をほどく。
「ごめん、俺もう梨花子とは付き合えない」
「は?なにいってんの?真鍋さんになにしてもいいの?」
「いいよ、それでも俺が守ってみせるから。それに葵はそんなに弱くないから」
「はは、うける。なにそれ。後悔しても遅いんだよ?」
「いまのほうがよっぽど後悔なんだ。お前と付き合ったこと、葵にあんなこといったこと。それに比べたらこれから起こることなんて大したことじゃない」
「うっざ。勇也くんがそこまで一途だと思わなかったわ。真鍋さんが勇也くんのこと好きかもわかんないのに」
「それでもいい。葵が俺のこと好きじゃなくたっていい。俺がただそばにいたいから」
「はいはい、わかったよ。そこまでいうならいい。別れてあげるわよ。そしてそのことを絶対に後悔させてあげるから」
「上等だよ」
俺はそれだけいうと一目散に家に戻った。
葵に早く会いたくて。