言葉にならない愛を、君に
「おーい、みんな廊下に並べ」
去年学年主任だった先生が入ってきてそういってまた去っていく。
隣のクラスからも同じような声が聞こえた。
まだ担任は内緒だからわからないようにしているらしい。
そこまでしてまで内緒なのがちょっと不思議だけど、面白い。
「葵、いこ?」
「うん」
出席番号で並ぶので咲茉とは前後。
これも久々だ。
仲良くなっても席は離れているから休み時間やお昼を食べるだけの友達って感じだったから。
「葵、友達できてよかったな」
「うん、ありがとう」
教室をでるとき勇也と航ちゃんがきて咲茉とも挨拶する。
そのとき咲茉の顔がすこし赤かったような気がしたけれど、気のせいだって思っていた。
なんとなく、思いたくなかったんだ。
咲茉は勇也や航ちゃん目当てでわたしに話しかけてきた、ってことを。