言葉にならない愛を、君に




「えー、あらためてこのクラスの担任になった遠藤将司です。最高な1年にしていこう」


始業式で発表されたわたしたちの担任は遠藤先生だった。

戻ってくるとき勇也と航ちゃんはげんなりしていて、それをみてわたしは笑った。


「大丈夫だよ、きっと」

「葵は知らないからだよ、遠藤の恐ろしさを」

「そうだよ・・」


そんなことをいっていた2人は、教壇に先生がいるだけで緊張気味なのか背筋がいつも以上にピンと立っている。

それがまた面白くてわたしは後ろを向いて咲茉と指さしながらけらけら笑った。


「葵、さっき笑ってただろ」

「ごめんごめん」

「それに、山之内さんもー」

「ごめんなさい」


謝りつつもまた笑いがこみあげてくる。


「勇也も航ちゃんも気にしてたら身がもたないよ」

「そうだけどさ、なんか遠藤がいるってだけで背筋が勝手にのびるんだよな」

「あんなに体育のとき優しいのにね」

「あれは完全なる猫かぶりだ」

「はいはい、それより2人とも今日からもう練習?」

「もちろん、葵は?」

「わたしも、春休み中はほとんど練習できなかったから今日からまた大変だよ・・咲茉は?」

「わたしも今日から」


始業式の日から練習なんて時間が長くて大変なんだけれど、この3人が同じグラウンド内で練習しているって思うだけでなんだか頑張れそう。

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