言葉にならない愛を、君に
「勇也くん、航平くん、はいこれ」
マネージャーである芹沢梨花子(せりざわりかこ)が飲み物をもってきてくれた。
「さんきゅ」
「もう少しで休憩おわりだって」
「了解」
「よし、頑張るか」
「だな」
葵に気持ちを伝えることは、多分ない。
葵のほうをみると今度は向こうが休憩になったみたいでこっちに手を振っていた。
手を振り返すと、梨花子がすごい勢いで俺と航平の手をつかみそのまま引っ張った。
「ほら、いくよ練習はじまるから」
「わかったから、そんな強くひっぱんなよ」
葵のほうをみると口パクで「がんばれ」といってるのがみえた。
少しだけ苦笑いしてるようにみえるのは、きっとこの状況をみてだろう。
俺も口パクで「ありがとう」と返して前を向いた。