言葉にならない愛を、君に

「わたしね、捨てられたの。どっちにも引き取ってもらえなかったの。それで親戚の家にいくことになって。それが今のとこ」

「両親のはつらいけど・・でもあの親戚の人はいい人そうだったじゃん」

「それがね、あの人のすごいところ。あの人は他人の前だとすごくいい人になる。突然母親感をだしてくる。でも本当は、違う。あの人も両親と一緒だった。
食事はくれるけど残り物。寝るところさえ用意してもらえなくて、布団もない。この前リビングで話したのはね、わたし部屋がないから。いつもあそこで寝てる。

それにねあの人の旦那さんは、いやなことがあったらわたしに暴力をふるうの」


そういってスカートをあげるとそこには無数の痣があった。


「ここだけじゃない、ほかにもたくさん。でも全部見えないところ。そのときに思ったの。ああ、わたしこのまま一生地獄から抜けられないんだなって。わたしはねそんな恐怖と今もずっと戦い続けてるの」

「じゃあ、どうして?どうして葵を傷つけた?
痛みをしってる梨花子が、それを恐怖だと思ってる梨花子がどうして?」
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