言葉にならない愛を、君に
「はは、ほんとどんだけ遠回りしてたんだよって感じ」
「世話が焼けるよね、ほんと」
航ちゃんと、いつの間にかきていた咲茉がそういって笑っていた。
咲茉はこのこと、知ってたんだ。
この2人には本当に感謝しかない。
「てか、なんで、グラウンド?」
ふと疑問に思っていたことを口にする。
「なんか大声で叫んでみたい気分だったんだよ、でもほら体育館は使われてたしさ。それにここなら、誰からも邪魔されないし」
「はは、そんな理由?」
馬鹿だ、と思う。
でも、嬉しい。
たしかに、大声でわたしの名前を呼んでくれたとき、それだけで幸せだったから。
「葵、これからは絶対離さないから」
「うん、わたしも離れない」
たくさん、遠回りしたと思う。
でも、いいんだ。
だってその寂しさがあった分、強くなれたと思うから。