言葉にならない愛を、君に


「ねえ、葵ってさ、本当に幼なじみとしてしかみてないの?」

「え、?うん・・」


しばらく沈黙が続く。

幼なじみとしてしかみてないのっていうセリフはもう何百回も聞かれた。

そのたびにわたしは「うん」と答えてきた。

みんな、嘘でしょとかもったいないとか言ってきたり、だったら一緒にいるのやめればいいのにっていってきたりさまざまだったけれど、咲茉はなんていってくるんだろうか。


「わたしね、航平くんのこと、好きみたい」

「・・・え?」


そんなことを考えていたから、咲茉の発言にわたしは拍子抜けした。


「入学してすぐにね、ああ、かわいいなって。なんか犬みたいでさ。あ、悪口じゃないよ?」

「うん、」

「そのときはそうとしか思ってなかったのに、部活やってる姿みたら恋に落ちちゃった。ギャップ萌え・・みたいな?サッカーやってるときは男らしくて、かっこよくて、ああ、いいなって」


こういう話を聞くのははじめてだ。

女子たちから人気なのは知ってたし密かにファンクラブみたいなものができているのも知っていた。

でも、ちゃんとこうして面と向かって好きという気持ちを打ち明けられるなんて。

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