言葉にならない愛を、君に
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教室に戻ってくるとサッカー部のマネージャーの芹沢さんが勇也と航ちゃんと話していた。
「これ、今日の練習メニュー、部長が渡してって」
「わざわざありがとね」
「ううん、全然」
「じゃあ、またね」
さっきまで楽しそうに話していたのに、わたしが入ってきた瞬間芹沢さんは帰ってしまった。
「あ、葵、どこいってたの?」
「え、あ、咲茉と屋上でごはん食べてた」
「こんな暑い中?」
「そんなこといったら2人だってサッカーやってたじゃん」
「あはは、たしかにな」
ちらっと咲茉のほうをみるとやっぱり顔が赤い。
「山之内さん、顔赤くない?大丈夫?」
「え、う、うん」
航ちゃんに顔をのぞかられた咲茉の顔はもっと赤くなる。
「え、本当に大丈夫??」
航ちゃん、いじめないであげて。
と心の中で思いつつ、ほほえましい。
なんだかすでにお似合いにみえた。