言葉にならない愛を、君に
「あ、航ちゃん、勇也も、なんか苗字にさんづけってよそよそしいから、名前で呼ばない?」
「え?でもいいの?」
「あ、はい。全然、好きなように呼んでください・・」
咲茉は顔を真っ赤にさせたまま、つぶやくようにそう口にする。
「じゃあ、遠慮なく、咲茉よろしくね」
「咲茉ってかわいい名前だよね」
「あ、ありがとう」
チャイムがなってこの会話はそのままお開きになった。
「もう、葵!わたしのこといじめてるでしょ」
「そんなことないよ、協力、だもん」
「だからって名前呼びなんて、あーもう恥ずかしい!」
部室に向かう途中怒りながらも、嬉しそうな咲茉。
「これから、もっと仲良くなってね」
航ちゃんと咲茉がもしくっついてしまったらきっといままでみたいに朝一緒に登校するとかできなくなるかもしれないからすこし寂しい。
でも、咲茉なら安心だ。
そう、思っていたのに、わたしは最低だった。