言葉にならない愛を、君に
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「葵、さっきはごめんな。話したいことあったんでしょ?」
家についてから1時間後くらいに、勇也がわたしの家にやってきた。
「うん・・最近勇也と話せてないなって・・」
「ごめん、だいぶ梨花子が参っててさ、ほっとけない状態で」
「それはわかるよ。でもさすがに一緒にいすぎじゃない?噂まで流れてるよ、2人は付き合ってるんじゃないかって」
「それも気づいてる・・でもそれはないから、信じてほしい」
「わたしのことは疑ったのに、信じてほしいって・・」
「あれは、違うって。葵のこと信じてるよ、葵が犯人じゃないってことくらい、俺が一番理解してる」
「じゃあ、なんで・・」
「ごめん。俺もなんだかよくわかんなくなってた。でも葵とこのまま話せなくなるほうがもっとつらい」
「わたしも・・どんどん勇也が離れていく気がしてつらかった」
熱がすーっと冷めていく。
「俺、梨花子のことはなんとも思ってないから、でもこれからも落ち着くまでは梨花子と一緒にいる。ただ、葵とも同じくらい一緒にいるから。夏休みとかは普通に航平も一緒に遊ぼう」
「約束だよ?」
「もちろん、約束」
まるで小学生のころに戻ったみたいに指切りをした。
好きという気持ちは伝えない。
ただ、前みたいに戻れればそれでよかった。