言葉にならない愛を、君に
「わたしはいいなって思うけどね」
「?」
「だってさ、わたしには幼なじみがいるわけじゃないしわかんないけど、普通高校生にもなってこんな仲いいなんてすごいことだと思うよ」
「そうですか?」
「うん。だってそれこそ反抗期、じゃないけど男子って悪ぶったりする時期でもあるしさ、かっこつけたり、女の子ともっと遊びたいって思ったり。
でも葵の幼なじみくんたちは違う。本当に純粋に葵のことだけをみてくれてるって感じで。すごいなって関心するよ」
「あはは、そうだといいですけど」
「ま、わたしがいうことでもないけどさ、もし葵が好きって気持ちがあるなら伝えるべきだと思うよ」
「え?」
「葵優しそうだからさ、なんか自分がどっちかとくっついたらどっちかが傷つくとか思いそうだから。でも、そうやって考えてる方がひどいからね。好きなら好きって気持ちちゃんと伝えなよ」
先輩には勇也のことが気になってるなんて一言もいっていないのに、なんだか心を読まれた気分。
「って、こんなこと話してる場合じゃないね、練習するよ、練習」
「はい!」
たしかに、わたしは思っていた。
勇也を選べば、航ちゃんはどうなるんだろうって。
でも、咲茉と航ちゃんも最近どんどん仲良くなっているし、そんなことわたしが気にする方がおかしいのかな。
ふと視線を感じて顔をあげると芹沢さんがこっちをすごい目で睨んでるのがみえた。
まだ、わたしが犯人だと思ってるんだろうか・・
誤解をときたいけれど、とく方法も見当たらない。
「葵ー」
先輩に呼ばれてわたしは走り出した。