言葉にならない愛を、君に



「早く告白すればいいのに」

飲んでいたジュースを吹き出しそうになった。

今日は久々の休みで、咲茉とお出かけ中。

「いやいや、咲茉にいわれたくない」

「それもそっか」


咲茉が航ちゃんを好きだと聞いてからだいぶ時間がたったような気がする。

咲茉の性格的にすぐにでも告白すると思っていたから意外だった。


「怖いんだよね。ふられるのが」

「航ちゃんも咲茉のこと好きだと思うけどな?」

「それ本気でいってるの?」

「え、うん」

そういうと咲茉は「はぁー」とため息をついた。

「え、なんでなんで?」

「葵って鈍感だよね、すごく」

「そうかな??」

「そうだよ」

咲茉のいっていることがいまいち理解できなかった。

わたしてきには咲茉と航ちゃんはお似合いで、咲茉がふられるとか想像がつかないから。

「まあ、いいよ。葵と勇也くんがくっついたら、告白する」

「えー、なにそれ!」

「まあ、弱みにつけこむ、ってやつ」

「????」

ひたすらわたしの頭の中ははてな状態だった。

「ま、葵にはわかんなくていいよ」

「えー!」

「ほら、映画の時間に遅れる、いこう」

話をだいぶそらされたけれど、時間をみるとたしかにギリギリ。

「まってー」

友達と映画をみるなんて、久々だ。

1年生のときに仲良くしていた子たちとは外で遊ぶ、というのはほとんどなかったから。

せっかくの高校生活を1年無駄にしちゃったななんて改めて思いながら咲茉を追いかけた。

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