言葉にならない愛を、君に



手を繋がれたままついた先は屋上だった。


「葵、ごめん」

「・・なんで、航ちゃんが謝るの?」


わたしよりもひどく傷ついたような顔をしている航ちゃんをみると余計つらい。



――「もう幼なじみごっこはやめよう」


勇也は、いつからそう、思ってたの?

幼なじみ“ごっこ”だなんて。

今までのは全部、嘘だったの?



「葵、泣かないで」

泣くつもりなんてなかったのに、気づいたらわたしの目から涙が溢れ落ちていた。

「っ」

「ごめん、葵」

突然航ちゃんから抱きしめられた。

「航、ちゃん?」

「好き、なんだ」

「・・え?」

「子供のころからずっと葵のことが好きだった」

「・・」

「勇也じゃなくて、俺をみろよ」

本当に、航ちゃん、なんだろうか?

今までの航ちゃんは可愛くて女の子みたいだったのに、今わたしを抱きしめている航ちゃんはたしかに男の人だった。

でもわたしはそんな航ちゃんの胸を押して離した。
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