気づいて

••一緒の時間を大切に


翌日、
凌平さんは待ち合わせの
10時に私のマンションに
迎えに来てくれた。

『着いたよ。』LINEがきて
『降ります。』と返して
マンションから出ると
車に持たれて立っている
凌平さんがいた。

やっぱり、カッコいいなぁ
と、思いながら
「凌平さん
おはようございます。
お待たせしました。」
と、言うと
「莉央、おはよう、
    待ってないよ。」
と、言われて
助手席のドアを開けて
私を乗せると自分は運転席に
乗り込み
「さぁ、行こうか。」
と、言いながら車を動かした。

車の中では
昨日の叔母の話しや
両家の母親に報告した時の話しをしたり
話しの間が開いても
流れるBGMが自分の好きな音楽だったり
凌平さんとの空間は
嫌な気持ちは少しもなくて
穏やかで温かいものだった。

映画館について
ラブコメディをみた。

これも二人でどうするとなり
二人で一斉に指をさしたら
同じものだったので
可笑しくなり二人で笑いながら
中に入り映画をみた。
中々、面白くて
その後も話しは盛り上がった。

ショッピングモールに移動して
少し遅い昼食を食べて
ブラブラしようと話した。

出来たばかりだからか
人・人・人
「すごいね。」
と、言いながら
二人であちこちを見て回る
凌平さんは、さりげなく手を
差し出し
私が?と首をふると
「人が多いから離れないように。」
と、言われ
顔が赤くなるのがわかったが
凌平さんの手に自分の手を重ねた。

すると凌平さんは
嬉しそうに笑いながら
ギュッと私の手を握り絞めてから
歩き出した。
片手が使えないから
不自由かな、と思ったが
そんなことはなく
お互いにトイレにいって
離れても、戻ってきたら
自然と又、手を繋いでいて
可笑しくなる
所々で、欲しいものを買って
夕方になり
そろそろ移動しようか
と、話していたら
「莉央?」
と、言われて
振り向くと
「あっ、伊・・織・」
伊織は、一人で立っていた。

あの日から会っていなかった
伊織・・・
伊織は、私の横にいる凌平さんに
目をやり
「彼?」
と、言い
私が言葉がでないでいると
「莉央?」
と、凌平さんが私の顔を
覗いてから、繋いだ手に力を入れ
「莉央の知り合いの方かな?
莉央の恋人の桂木です。」
と、伊織に向けて言うと
「あっ、俺は莉央、いやっ、
双真の同期で椎名 伊織です。」
と、伊織が凌平さんに答えていると
「いっちゃん、お待たせ
うん?いっちゃん、どなた?
てか、すっごいイケメンさん。」
と、可愛い女の子が伊織の腕を
掴みながら言った。
「ああ、同期の双真さんと
双真さんの彼の桂木さん。」
と、伊織が答えると
彼女は、
「私は、いっちゃん、伊織の
彼女の山口 菜緒です。」
と、伊織の彼女が頭を下げたので
私も凌平さんも頭を下げてから
「では、私達は。」
と、凌平さんが言うと
「私達、今から休憩するのですが
ご一緒にどうですか?」
と、言う山口さんに
伊織は、
「止めろよ。」と、言うが
「いいじゃない、いっちゃんの
会社の事、聞きたいし。」
と、にっこり笑う山口さん
本当に、男性からみたら
守ってあげたくなるタイプだ。

伊織が可愛いと
言っていたのが、よくわかる
そんな山口さんに
私が、言葉を発する前に
「申し訳ないけど
私は、莉央との時間を
大切にしたいので。
莉央、行こうか。」
「はい。」
ホッとしたのと
凌平さんの言葉が嬉しかった。

私達は、どちらからともなく
手を繋いで
伊織と山口さんから離れた。
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