気づいて
••彼だね
駐車場の凌平さんの車につき
車に乗ると
「彼、椎名さんかな?
莉央さんの片想いの男性は。」
と、凌平さんは真っ直ぐ前を向いたまま
言葉を発した。
なぜ、わかったのだろう
だが、嘘をつくつもりもなかったから
「はい。彼です。
大学の入学式の時
私が落としたハンカチを
拾ってくれたのが伊織でした。
そのときから、私の長い片思いが
始まりました。
ハンカチをきっかけに
私と伊織は、話すようになりました。
伊織は、あの顔ですから
凄くモテて、告白されると
断りきれなくて
付き合っては、私に愚痴をこぼすように
なりました。
彼女達の話を聞かされることは
辛いことでしたが
伊織の近くに入れるなら
今のポジションのままでいようと
思いました。」
「そんな彼なら、莉央が告白しても
付き合ったのでは?」
「それは、ないです。
だって、伊織の中では
私は女性では・・ない・・から‥‥。」
と、話しながら莉央の目から
涙が落ちた。
そんな莉央を凌平は、
自分の親指で涙を拭きながら
莉央の頭を自分の中に入れた。
莉央は、一瞬体を固くしたが
凌平の胸に頭を預けた。
「こんなに、綺麗で可愛い莉央が
女性ではないと言う彼がわからない。」
と、凌平さんは言いながら
莉央の背中を撫でた。
少しして、落ち着いた莉央に
「莉央の中から
直ぐに彼を追い出すことは
出来ないと思うけど
俺自身を見て欲しい。
俺は、莉央が好きだよ。」
と、言ってくれた。
莉央も
「凌平さんといると
凄く温かくて安らげて
居心地がよくて
そんな凌平さんが、私も好きです。」
と、伝えると
凌平さんに顎をあげられて
キスをされた。
凌平さんのキスは、優しくて
気持ちよくて、夢中になる。
しばらく、離れてはキスを
繰り返していたが
どこかで夕ご飯を食べようか
となり、ショッピングモールを
後にした。