気づいて
••優柔不断
あの日から週末まで
伊織と会うことはなかった。
電話も無ければ
LINEもなかった。
杏には、もちろん
洗いざらいはかされて
呆れられた。
「で、どうだったの?」
「どう?って、何が?」
「あの優柔不断は、旨かったの?
気持ち良かったの?
優しかったの?」
「えっ・・たぶん・・・
ヤサシカッタ‥‥キモチヨカッタ‥‥‥‥と・・・」
「ふぅん」
と、ニヤニヤされてしまったが
「で、でもっ、私、
明日、お見合いだし
もぅ、都合のよい女も
不毛な片思いもやめるよ。」
と、言うと
杏は、びっくりしたが
「本気で言ってるの?
もう、あの優柔不断男はいいの?」
「だって、杏もやめなさいって
言っていたじゃない。」
「そうだけど。
あなたがずっと、あの優柔不断男に
片思いしていたの知っているから。」
「だって、あの日から
何にも言って来ないんだよ。
LINEだって、電話だって
マンションだって、知っているのに
彼は、覚えてもいないし
ましてや、一夜だけの暇潰し
みたいなもので、
もしかしたら、
気持ちもない友達を抱いてしまった
と、過ちに嘆いているのかも
と、思ってね。
だから、もういいの。
良い機会だったんだよね
前に進むよ。」
と、言うと
杏は、心配そうな顔をしながら
莉央をみていた。