あなたの好きなおでんの具を知りたいと思うくらいにはあなたが好き
課長とは歪だったけど確かに私は課長が好きだった。


「じゃあ別に俺にこの話しなくても良かったじゃないですか」


「だからしなくてもいいかなってさっき言ったでしょ」


「違うよ、話そうと思って俺に連絡した時、何を思ったんだって聞いてんの」


「嫌だったの
私がまだこんなに卑屈になる前の綺麗な思い出なの、だから誰にも言わずになかったことになるのが嫌だったのよ」


「別に無かったことにはならないでしょ
先輩の中にしっかりあるじゃん」


「…わかんないよ」


なんで話そうと思ったのか、


なんでこのままは嫌だったのか、


なんで三浦に話そうと思ったのか、


何もわからない。
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