音楽のほとりで

2人は、暫く公園での長閑な時間を楽しむと、また次の場所に移動する。

次に来たのは、郊外にある大型のスーパーだった。

「ここ、週末になるとよく買い物に来るところなんだけど、何でも揃っていておススメなんだ。特に、サンドウィッチはおすすめ」

人の賑わうその中を、2人は話しながら歩いている。

「私、ちょうどこういうところを探していたので、今日連れてきてもらってラッキーですっ」

南は辺りを見渡している。

「よかった」

スーパーのほかにも、アパレルショップや化粧品店まであり、ここに来れば一通りの必要なものは揃いそうだ。

「なんか買ってく?」

「ちょっと見てもいいですか?」

「全然いいよ」

南は、食器コーナーや日用品コーナーなど日常で使うものを見て歩き、その後ろを尚はついていく。

その2人の姿はまるで、恋人のようだ。

「このガラスのお皿とか可愛いですね」

光が反射してキラキラと光る皿を手に取ると、南はその感想を述べる。

「うん、僕は食器全部薄水色のガラスのモノにしてるよ」

「なんか、お洒落ですね」

「まあね」

尚は、昔桜が将来のことを語っていた時に、食器はガラス製のもので揃えたいと言っていたことを覚えていた。

だから、なんとなくそれで揃えてしまっていた。

「今日はちょっと買いすぎたので、今度来た時に買います」

「うん、それがいいかもね」

と、尚は笑って言う。

結局、1時間ほどここて過ごして2人はその場を後にした。

「じゃあ、今日はこれくらいにしておこうと思います」

「うん、もう空も暗くなってきたし」

「また、会いましょうね」

「そうだね、家まで送らなくて大丈夫?」

「大丈夫ですよ。じゃあ、また」

「うん、またね」

南は、小走りで家の方へと向かって行く。

尚も、その姿を見送ると方向転換をして歩き出すのだった。



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