音楽のほとりで
尚は、南が去った後もマイペースに残りのスムージーやスコーンを食べる。
正直、尚には先ほどの南の話が100%事実であるのかどうかを判断するに、はなにかがピンとこなかった。
しかし、それを確かめる方法というのも思い浮かばずに、とりあえず様子見をしようということにした。
今まで正していた姿勢を崩すと、尚は背もたれに寄り掛かる。
その背もたれは意外と柔らかくて腰の角度が思ったよりもついたため、尚は少し前かがみになった。
先程までは話していたり考えていたりで気にもしていなかったが、というより、気にする余裕もなかったが、スコーンに散りばめられてあるチョコが、意外とビターな味がしてほろ苦くて美味しい。
スコーンの甘さと、ビターなチョコがちょうどよく混ざり合って程よい甘さを醸し出している。
そろそろ帰ろうか、とスコーンもスムージーも後一口というところまできたときに尚はそう思った。
頭の中では、次は今日の夕食のことを考え始める。
家の冷蔵庫の中を思い出してみると、野菜だけしかなくメインとなる肉や魚の存在がないことに気付いた。
「スーパーでも行くかな」
と、全てを食べ終えた尚は腰を上げた。
ようやくそこのカフェから外に出た。
空は、カフェに入った時よりも若干暗くなったように見えた。