あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「ごめん…。
我慢できなかった。

これじゃ、直哉がしようとしていたことと一緒だよな。」

髪をガシガシとかきむしり私から距離をとった。

「ふぅ。
悪かった、杏。

俺は人一倍嗅覚が鋭くてね。

君は好意をもつ相手には甘い香りを微かに漂わせているんだ。

知っていたかい?」

小さく首を左右に振る。

「君の放つ香りはその想いが強ければ強いほど強烈だ。

俺にもそんな甘い香りを放つから思わず理性が吹き飛んだよ。
本当にすまなかった」

深々と頭を下げた彼は目を細めて優しく私をみつめた。


「 杏は誰よりも彼が好きなんだな。

彼を想う君の香りは一際甘かったよ。

君たちの間にはやはり入り込む隙なんてなさそうだな」

立ち上がった彼は私のドレスを手に取ると

「帰ろう。
支度してくれ。向こうでまってる」

ベットにドレスをそっとおいて部屋から出ていった。
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