あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
***

颯馬とはあれから会っていない。

毎日きていた電話もメールも、だんだんと日にちの間隔があき、一週間に一度になった。

私から連絡することも彼女の言葉が頭から離れなくて躊躇してしまいただひたすら颯馬からの連絡を待つだけになった。

恭一さんは、週一で山梨から東京本社に足を運び、副社長と秘書の中川さんを牽制するために私をお昼に誘った。

副社長はたまに今までの優しい笑顔ではなく、じっとりとした目をむけてくることがあり、その度に私は背筋がゾッとして足が震える。

怖くて怖くて仕方がない。

毎朝、挨拶の他に一言二言話しかけてくるようにもなった。

「たまには兄貴ばかりじゃなくて、僕と一緒にお昼を食べてほしいな」

「兄貴と一緒になるなら会社のことをもっと知るべきだから秘書課にこないかい」

心が悲鳴をあげていた。

助けて颯馬…!

会いたい……颯馬に、会いたい。
< 114 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop