あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
この日恭一さんから副社長と晴美さんの入籍が知らされた。

式は来年の六月。

私がいなくなったことで、副社長も区切りをつけて晴美さんのことを大事にしているらしい。

「兄貴も坂口さんに逃げられないうちに早く入籍しちゃえよ。
まぁ手の早い兄貴のことだからデキ婚になるかもな」

なんて冷やかされたらしく

「どうする?
期待に答えちゃうか?」

なんてニヤニヤして肩を抱こうとするので、その手をつねって

「 所長、セクハラですよ?」

と軽くにらむと

「あれ?俺、婚約者じゃなかったっけ?」

とおどけて笑う。

「 妄想もほどほどにしてくださいね」

「いや、妄想も願望も口にし続ければ現実になる!!

これ、俺の持論!

坂口さんは冴島恭一を好きになる!

恋人にしたくなーる!

結婚したくなーる!」

こんなやりとりを社内でしている所長と私はすっかり今は名コンビだ。

「所長、セクハラ!」

「坂口さんの独り占めは禁止ですよ!」

「抜け駆け禁止です!」

とみんなにかまわれている私は会社にいれば楽しくて仕方がない。




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