あまい･甘い･あま～い彼に捕らわれて
昨日…私は会社の前まで迎えに来ていた圭吾に飛び付き、腕を組んで歩いていたことを思い出す。

久しぶりに会った圭吾とのデートが嬉しくて、会社の前だったことも忘れはしゃいでしまったのだ。

「アレ、私も見てたんですけど、かなりの人たちが目撃してて。
昨日の飲み会でもその話題で持ちきりでした」

しまった！という顔をした私に前島さんは言いづらそうに声をひそめ、

「実は…坂口さん、お金持ちのおじさまの愛人だなんて話にまでなっちゃって」

「えぇ！」

前島さんの言葉に驚いて立ち止まり、その場で私は固まった。

「だから坂口さんあんなに可愛いいのに彼氏いないし、誰が誘っても来てくれないんだって。

一人が言い出したらもう断られてる人たちや妬んでる女の子たちがあることないこと言いはじめちゃって…。

酷いですよね…。

本田さんも私も坂口さんはそんな人じゃないって否定したんですけど…。

噂が広まるのって早いですね」

と申し訳なさそうに前島さんは眉毛を下げた。

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