あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「何がダメなのかなぁ。」

「…俺は?」

気がつくと思わずそんな言葉が口からでていた。

「えっ?」

一瞬大きく目を見開いた杏は涙目の顔でふにゃりと笑い

「 葵さんと颯馬の甘ーい香りは私大好きだよぉ!」

"大好き" の言葉に反応して俺の顔は瞬く間に赤くなる。

「あれぇ、颯馬照れてるのぉ、可愛い颯馬」

伸びてきた手が俺の顔を撫でまわし

「颯馬だけは特別だよ!」

彼女の意味する特別と、俺の意味する特別は明らかに違うことはわかっているが、それでも嬉しくて撫で回す手をつかんで顔がおもいっきり緩んでしまう。

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