あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて

ずっと一緒にいよう

***
「うっ…気持ち悪い…。
こないで颯馬。私に近づかないで!」

あれほど大好きだった颯馬の甘い香りが、不快になったのは二月に入ってすぐのことだった。

バレンタインが近づき颯馬からはいつもよりさらに甘い香りがただよい、吐き気がして気持ち悪くて仕方がない。

「颯馬…クリスマスの時、家に二泊したけど…もしかして」

ハンカチで口元を押さえながら颯馬を睨む。

「あーっ…。
うん。はじめはつけてたんだけどさ、やっぱりほっとくと杏はすぐ俺のもとからいなくたりそうだからさ。
気が変わられても困るし。
杏の記憶が飛びはじめた頃…計画的にやった。」

「颯馬!!!」

颯馬はぺろっと舌をだして無邪気に笑う。

そんな顔も可愛くて胸が思わずキュンとするが、ムカムカするこの感覚は間違いないだろう。
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