あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
親父の息はすでになく、お袋は茫然と立ち尽くす俺の姿を見かねた医者が、懸命に心臓マッサージを続け
て植物状態で呼吸器に繋がれている…。

両親が俺に残した手紙を、俺は警察にもじぃちゃんや叔父夫婦にも誰にも見せずに黙っていた。

二人が死を選んでしまった理由が綴られたその真相をぐっと自分の胸の中に押し込めた。

病院に押し掛けてきた彼らの顔なんて見たくなかった。

息はしているが目を覚ますことは絶望視された母を見ていることも辛かった。

ふらりと外へでて一人こらえきれずに涙を流す俺と彼らは遭遇した。
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