あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「うわぁ、いいですね!
そんなに一途にずっと想われて!

だから坂口さん彼氏作らないでいるんですね。
待ってるんですね?
幼馴染みの彼が帰ってくるのを」

さらに目を輝かせている前島さんは、私の話を聞き大きく誤解したようだ。

「いや、違う…」

否定しかけたときに、会社の玄関をでたところで、不意に誰かに強く腕を引かれて、きつく抱き締められた。

「杏…」

頭上から降ってきた私を呼ぶ声と、ほんのり香る甘い香りにすぐにそれが誰だか気がつく。

顔を見なくてもわかる…。

「 颯馬…」


そう呟き、見上げた三年ぶりに会う彼は、息をのむほど大人びて…

カッコよく成長していた。

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