あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「ごめん、昨日彼、海外から帰国したばかりで久しぶりだからゆっくり二人で過ごしたいの!
また明日ね前島さん、本田さん!

行こう!颯馬!!」

私は足早に颯馬を引っ張りながら会社から慌てて遠ざかった。

しばらく歩いたところで腕を離して颯馬を見上げると、その横顔は明らかに不機嫌なものに変わっていた。

「なんで颯馬が怒ってるのよ!

帰国したのに連絡もしてこないでいきなり会社に来て!

しかも!人前であんなことして!」

「俺は!

俺は医者じゃない…。

杏は…

俺に医者になってほしかったのか?

悪かった、いきなり来てキスして」

その瞳は悲しげに揺れて、私が颯馬に手を伸ばす前に彼は…私に背を向けて歩きだしてしまった。

颯馬を傷つけた…その背中を追いかけることができなくて、私はその場に立ち尽くして颯馬の背中を見つめていた。






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