あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
迷っていた颯馬の背中を押したのは私だ。

彼は晒名総合病院の医院長の長男として生まれ、外科医の父親同様とても手先が器用で、周りからの期待は大きかった。

一方で、母親が祖父の代から続く洋菓子店のパティシエで、颯馬はお菓子作りにも興味を示していた。

幼い頃からずっとお互いを見て私たちは育ってきた。

颯馬のやりたいことは私にはわかっていた。

だから背中を押したのだ。

「颯馬の作るケーキ私は大好きだよ。
颯馬から香る甘い匂いも私は好き。

やりたいことやったら?」と。

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