あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「ごめん…

また一方的に気持ちを押し付けて突っ走った。

好きすぎて…杏のすべてを自分のものにしたかった」

真っ直ぐに見つめる切なげな瞳にドクンと胸が音をたてる。

優しく目元を触れた指先は、微かに滲んだ涙を拭っていた。

けっして嫌で涙が滲んだわけではない。

確かに突然の激しくぶつけられた情欲に、驚き戸惑いはした。

だって一階のリビングには家族がみんないるのだから…。


溢れた涙は、呼吸がままならない激しくて甘いキスの息苦しさからの生理的現象。

「泣かせてごめん。

嫌がってるのに急ぎすぎた。

ごめん、杏。

頭冷やして顔洗ってくる」

私から離れると、颯馬は部屋からでていき、私はベットから身体を起こして乱れた衣服を整えて…

そのまま熱く火照った身体を両腕で抱き締め、先程の颯馬を思いだしてドキドキしていた。
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