あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
しばらくして戻ってきた颯馬は、

「明日から母さんの店で働くからちょっと忙しくなりそうなんだ。

もう会社に迎えには行けないけど、連絡するからゆっくりデートしてもらえる…?

杏の嫌がることはもうしない。

俺のことちゃんと男としてみてくれるまで何もしないから。」


不安そうに見つめる彼に私は頷く。

私の゙好き"はまだ気づき始めた小さな気持ち。

それがもっと大きく膨らんでいくのか、この意識し始めたばかりの恋心は自分でもよくわからない。

いまはまだ、颯馬には伝えたくはない。

「よかった」

小さく息をはき、颯馬が机から紙袋をとり、私に差し出す。

「これ。お土産」

「ありがとう」

ふと机の上の数枚のデッサンに目が止まる。

それはケーキのデザイン画。

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