あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「三年間我慢できたのに戻ってきたら毎日会いたくて仕方ないや。

もうちょっとしたら休めそうだからデートしてくれる?」

「暇だったらね。」

可愛くない言葉が口からでる。
私はいつだって素直じゃない。

「ねぇ、颯馬」

「ん?」

「どうして三年間一度も連絡してこなかったの?」

戻ってきてからの颯馬は三年間を取り返すようにべったりで、むしろ三年間音信不通で別人のようだ。

「……るから…」

「えっ?」

ボソッと呟く声は小さくて聞き取れなくて、顔だけ振りかえって颯馬を見上げると、私の顔を見て赤くなった。


しまった!
すっぴんだ!

慌てて前をむきかけた顔を颯馬の手にとらえられてじっと見つめられる。

「やだっ!
恥ずかしいから見ないでよ」

「化粧しなくったって可愛いいし、素顔見れるのは俺だけだから。」

至近距離のイケメンの笑顔の破壊力は半端ない…!

ダメだ…このままいつまでもこの腕の中に包まれていたい…。

「さっきの答え。

連絡しなかったのは会いたくなるから。

フランスから帰ってきたくなるから。

まじ、しんどかった。

だからもう我慢しないから。

覚悟しろよ杏。

俺絶対離さないから。

一生俺のものにするつもりだから」

不意に軽く触れた唇に抗議の視線をむけると、

「ごめん、昨日の言葉は撤回するよ。

可愛すぎて我慢するのはムリだ。

遠慮なく攻めるから嫌なら俺と距離とって?

近づいたら、遠慮なくいただきます」

再び近づいた顔にそっと目をふせると、ふっと笑う颯馬の声が微かに耳に届き甘いキスが何度も落とされる。

距離なんてとれるわけもなく、私は颯馬の腕の中でぎゅっと彼の服を握りしめて、力の抜けた身体を颯馬はクスクス笑いながら力強く抱き締めた。
< 51 / 182 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop