あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて

好きがとまらない

二人で映画を見て、夕飯を食べて家まで送ってくれた。

「明日の朝、迎えに来るから」

軽く合わさった唇、それだけで心は充分満たされていた。

ずっと繋がれていた手は温かくて、私の気持ちが指先から颯馬に流れ込みそうでドキドキした。

初めて恋をしたみたいに、うるさいくらいにさわぐ心臓の音が恥ずかしくて、

「杏、可愛いい」

と度々連呼する颯馬は涼しい顔で、私だけが意識しまくりなのがちょっと悔しい。

二人っきりでの旅行を想像すると、ドキドキがとまらないのに

「 俺、ピンクが好きだな」

とにやにやしている。

「…だからなに!」

軽く睨むと

「ん?一人言だから気にしないでいいよ。

俺の好みを呟いただけだから」

つい一時間ほど前のやり取りを思い出し自然と顔が赤くなる。
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