あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「それにしても、君はえらくみんなから注目されてるよな。

愛人だの不倫だの、今度は年下に貢がせてるって、嫉妬で酷い誹謗中傷だよな」

所長の言葉に胸が痛む。

こんな上の人にまで私の噂話が耳に届いてるんだ…。

わかってはいたが、胸が痛んだ。


「 俺なら守ってやれるのに」

「えっ?」

呟くように口にした言葉は私の耳に届いてはいたが、聞き間違いかと思い聞き返したが

「いや、何でもない」

とはぐらかされた。


「話がそれたな。

週末俺のパートナーとして参加してくれ。

これは業務命令だ。

土曜の一時、会社で待ち合わせだ。

服はすべてこちらで用意する。

髪も化粧もこちらで手配してやってもらう。

別に恋人のふりをしろとはいっていない。

ただの同伴者、それだけだ。

一人じゃカッコつかないし、女がよってきて迷惑なんだよ」

「でも、女よけって…それって恋人のふりになりますよね…?」

「ん?

あぁそうか。そういうことになるか」

屈託なく笑う笑顔から目が離せなくて、私は思わず頷いていた。

『これは業務命令だ。

仕事なんだから』

そう心に言い聞かせて…。





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