あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて

ときめく違う甘さの香り

モヤモヤした気持ちのまま土曜日を迎えた。

指定された時間に会社に行くと、副社長の秘書の中川さんが待ち構えていた。

「お疲れ様です、坂口さん。
今日は恭一の同伴者として付き合わされるんだってね。」

所長のことを"恭一"と呼びすてにした中川さんに

(あれ?)

と首をかしげると

「あぁ、恭一とは高校からの同級生でね。

君を秘書課に引っ張って、俺の後任に育てようとしてたのは俺」

とにこりと笑われた。

その笑顔からはまるで心の内が読めなくて、笑顔をむけてはいるが氷のような冷たさを感じてぞくりとする。

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