あまい・甘い・あま~い彼に捕らわれて
「俺はもともと研究がすきでね、

この会社には未練もないし、社長のことは殺したいほど憎んでるから冴島製薬で働くつもりはなかったんだ。
ずっとK 大学病院で研究をしてやっていくつもりだったんだ。」

「えっ?」

所長が口にした大学病院はパパや圭吾が働いていて、颯馬のお父さんも自分の病院に戻るまで働いていていた病院だ。

「君のお父さんやスィーツ王子のお父さんにはずっと昔助けられたことがあってね。

それで迷わずK 大学病院で働くことを選らんだんだが、社長に圧力かけられて呼び戻されてね。

諦めて新薬開発をしていたんだが、、、直哉が君に目をつけてね」

所長の横顔が険しくなった。

「入社試験に来ていた君に一目惚れしたんだよ。

君の希望部署は企画部だったろ?

秘書課に配属予定だったのを俺が手を回して受付にした」

「どうして!!」

思ったよりも大きな声が車内に響いた。

「君を守るためだ!
あそこなら、俺の息のかかったやつらに君をまかせられるからね」

そこまで話をした時、車は都内のビルの一階にあるサロンについた。

「ここで、髪をセットしてもらい化粧をしてもらう。
話の続きはあとでだ。

綺麗に変身してこい、杏。

今から俺のことは所長ではなく名前で呼べ。
いいな、"恭一"だ。

杏、お前たちを守りたい」

真剣な眼差しに小さくこくんと頷き、私たちはサロンの扉を開けた。
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