シュガーレスでお願いします!
(慶太がこんな男だなんて思ってなかった!!)
節度を持てと言ったのは私だけれど、まさかここまでするなんて思っていなかった。
慶太が家に帰ってくるようになったあの日以来、いってらっしゃいのキスはもちろんのこと、ハグや握手のような些細なふれあいさえも徹底的に排除され、私はなんだかモヤモヤしている。
間違ってうっかり触れようものなら先ほどのようにパッと避けられ、地味に心に傷を負う羽目になる。
……性格の悪い奴だ。
きっと慶太は私がお預けを食らった犬みたいにしょんぼりしているのを見て楽しんでいるんだ。
どうやら、慶太の中では、今まで当たり前のように享受していたものを絶つことで戸惑う私を楽しむという形にシフトしたらしい。
新しい遊びを覚えさせてしまったのは私の責任なのだろうか。
そもそも、私は節度を持てと言ったけれど、すべての糖分をカットしろとは言っていない。
これではシュガーレスどころかノンシュガーである。