シュガーレスでお願いします!

「だってさ~甘い物が苦手だなんて、前世で海水ばかり飲んでいたせいに決まってるよ」

私は何も刺さってない串をぶんぶんと振り回しながら、前世は海の生き物説について更に説明を続けた。

自分の特異体質に関して一通り考察した結果、上記の結論に達したわけだけど、いつか機会が訪れたら、自分の推測が正しいことを証明してやろうとひそかに企んでいるんだ。

「その理屈でいうと、俺の前世は蜂か蝶々かな?」

有馬さんはテーブルに頬杖をついて、しばし真面目な顔で私の話に付き合ってくれる。

スイーツ拒絶体質の私が海の生き物なら、パティシエの有馬さんは甘味集めの名人ということか。なるほど、面白い。

「ふふっ。どうかな?有馬さん、手先が器用だからもっと哺乳類に近い生き物かも……?」

私はうーんと唸りながら頭の中にいくつかの動物の姿を思い浮かべた。

手先が器用な動物と言えば、サル?それかアライグマ?もっと小型でリスとかネズミ?

しかし、どの動物も甘い顔立ちと、長い手足を優雅に操る有馬さんとはかけ離れているように思えた。

< 127 / 215 >

この作品をシェア

pagetop