シュガーレスでお願いします!

「心外だな。人間でも俺より上手にケーキを作れる奴はそうそういないと思うよ」

それは冗談なのか、自慢なのか、事実なのか。どれとも分からず、私は思わず吹き出してしまった。

「普通、自分で言う?」

あーおかしい!!

お酒が入っていることもあり、一度笑い出すと止まらない。私は渋い顔の有馬さんを指さしながら、5分は笑い続けた。

職人っててっきり謙虚な人が多いのかと思っていたけれど、有馬さんはそうじゃないみたい。

有名なパティシエを捕まえて、サルやアライグマと比較しようとしている私も大概だけど、話に乗ってくるあたり有馬さんもどこか変わっている。

男の人って皆そうなの?それとも有馬さんだけ?

大学時代も勉強に明け暮れ、弁護士になってからも、毎日、裁判所と職場と家の間を往復する生活が続いていた私にとって、有馬さんは未知の生物だった。

育ってきた環境も、歩んできた道も違う有馬さんとの会話は楽しくもあり、面白くもあり、癒しとなっていた。

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